あなたの健康を守る!医療リテラシー講座

年のせいと諦めない!フレイル予防でいつまでも元気な体を保つ秘訣

Tags: フレイル, 高齢者医療, 健康寿命, 予防医学, 生活習慣

健康に関する情報が多く飛び交う中で、「最近、疲れやすくなった」「転びそうになった」といった経験はありませんか。これらを単なる「年のせい」と捉えてしまいがちですが、それは「フレイル」と呼ばれる状態の兆候かもしれません。

フレイルは適切な知識と対策によって予防・改善が可能です。この講座では、フレイルの基本的な理解から、今日からご自身の健康を守るためにできる具体的な予防策まで、科学的根拠に基づいて分かりやすくご紹介します。

フレイルとは何か?〜「年のせい」と諦めないために〜

「フレイル」とは、加齢とともに心身の機能が低下し、病気に対する抵抗力が弱まり、介護が必要になる危険性が高まった状態を指す医学的な概念です。具体的には、以下の5つのうち3つ以上当てはまる場合にフレイルと診断されることがあります。

  1. 意図しない体重減少: 半年間に2kg以上の体重減少
  2. 疲れやすい: 週に3日以上、理由なく疲労感がある
  3. 歩く速度が遅くなった: 横断歩道を青信号のうちに渡りきれないなど
  4. 握力の低下: ペットボトルの蓋が開けにくい、重いものが持てないなど
  5. 身体活動量の低下: 普段の活動量が減った、座っている時間が増えたなど

これらは「年のせいだから仕方ない」と放置するべきものではありません。フレイルは健康な状態から要介護状態へ移行するまでの、いわば「中間地点」であり、この段階で対策を講じることで、健康寿命を延ばし、自立した生活を長く続けることが可能になります。

「サルコペニア」という言葉も耳にするかもしれません。これはフレイルの原因の一つで、加齢に伴う筋肉量と筋力の低下を指します。また、フレイルの一歩手前の状態は「プレフレイル」と呼ばれ、この段階で早期に気づき、対応することが非常に重要です。

放置するとどうなる?フレイルが引き起こすリスク

フレイルの状態を放置すると、以下のようなさまざまな健康リスクが高まることが知られています。

インターネット上では、「特定のサプリメントだけでフレイルが治る」といった極端な情報を見かけることもあるかもしれません。しかし、現時点では、特定の製品や方法だけでフレイルを完全に予防・改善できるという科学的根拠は確立されていません。大切なのは、バランスの取れた食事や適度な運動といった、基本的な生活習慣の改善と継続的な取り組みです。情報を見極める際には、その情報が科学的な根拠に基づいているか、信頼できる情報源から発信されているかを確認することが大切です。

今日からできる!フレイル予防の三つの柱

フレイル予防は、特別なことではなく、日々の生活習慣の見直しから始めることができます。ここでは、特に重要な三つの柱をご紹介します。

1. 栄養:バランスの取れた食事で「体を作る」

体力の維持には、毎日の食事が最も重要です。特に、高齢になると不足しがちなタンパク質を積極的に摂取しましょう。

2. 運動:無理なく「体を動かす」習慣を

筋肉を維持し、活動的な体を保つためには、適度な運動が欠かせません。

3. 社会参加:積極的に「人と関わる」時間を

心身の健康を保つためには、社会とのつながりも非常に大切です。

信頼できる情報源を見極める力

健康に関する情報は多岐にわたりますが、何が正しい情報なのか見極めることが大切です。情報源が明確であるか、科学的な根拠に基づいているか、極端な主張をしていないか、といった点に注目してみましょう。迷った際には、医師や薬剤師、管理栄養士といった専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

フレイルは「年のせいだから仕方ない」と諦めるべきものではありません。ご自身の健康状態に関心を持ち、栄養、運動、社会参加という三つの柱を意識した生活を送ることが、フレイルを予防し、元気で活動的な毎日を長く続けるための鍵となります。

気になる症状があれば、かかりつけ医に相談し、専門家のアドバイスを求めることが、ご自身の健康を守る第一歩です。この講座が、皆様の健康で活動的な毎日を支援する一助となれば幸いです。